イベントレポート:神奈川県×デジタルガレージの共同事業「湘南ビーチクリーンアクション」の参加者限定イベント

神奈川県では2024年に「WEB3を活用した行動変容促進に関する実証事業」として3つの領域でNFTを活用した実証実験を行っています。
今回はその中でも、ボランティア参加者として湘南のビーチのゴミ拾いに参加したボランティア参加者に対しての特別イベントの様子をお届けします。

ありがたいことにWEB3地方創生ねっとはこのイベントへの招待を頂き、参加させていただきました。
この記事では、恵比寿のCrypto Cafe&Barで開催された「湘南ビーチクリーンアクション:パネルディスカッション」についてイベントレポートとして神奈川県の取り組みと株式会社デジタルガレージの支援内容についてお伝えします。

神奈川県担当者の方へのインタビュー記事『ボランティア参加証明書NFTを全国の先駆けとして実施する神奈川県のWEB3行動変容実証事業
株式会社デジタルガレージ担当者へのインタビュー記事『神奈川県×デジタルガレージで実現。“配るNFT”から“使われるNFT”へ

※本イベントは2025年2月に実施されたものです。

目次

イベント概要:湘南ビーチクリーン活動特別パネルディスカッション

本イベントは、2024年11月〜12月に実施された海岸清掃イベント「湘南ビーチクリーンアクション」に参加した人のうち、NFTを取得した20名程度が対象。NFTは、参加証明として配布されたもので、活動の履歴をブロックチェーン上に記録するという新しい仕組みの実証が目的です。

交流会当日は、デジタルガレージ 伊藤穰一氏による講話をはじめ、NFTと環境問題、地域貢献との関係をテーマにしたパネルディスカッション、そして参加者同士の自由な対話の時間が設けられました。

肌で感じた、NFTがつなぐ“行動の意味”

このイベントで印象的だったのは、「NFTが証明書で終わらず、つながりや対話を生み出す媒介になっていたこと」でした。

イベントに参加した大学関係者や学生からは、「就職活動やAO入試で活用できる実績として意味を持つのでは」といった期待が挙がり、デザイン領域の参加者からは「ビジュアルとしての魅力が参加のハードルを下げた」との声も。NFTを「自分の活動を記録するもの」として捉える視点は、参加者同士の会話の中で自然と共有されていました。

一方で、「NFTでなければならないのか?」という冷静な問いも出され、紙の証明や既存の仕組みとの比較も議論されていました。とはいえ、「スケーラビリティと信頼性を持って他団体・地域にも展開可能な形にするにはNFTが有効」という見解が多数派であったことも事実です。

“軽い参加”から“続く関係”へ

「なんとなく面白そうで来てみた」「NFTって言葉は聞いたことあったけど…」といった声も多く聞かれた今回のイベント。

しかし、終了時には「想像以上に刺激になった」「環境活動にまた関わってみたい」と語る参加者も多く、NFTという技術が、ただのトークンではなく、“行動と記録”をつなぐ入り口として機能していたことがわかります。

地域の清掃活動という、これまでなら記録に残らなかった行動に「意味」が宿る。この取り組みが、今後ボランティア文化や社会参加のあり方を少しずつ変えていくかもしれません。

“かながわモデル”が示す、NFT活用の実装例

今回の交流会は、NFTが単なる「実験的ツール」ではなく、地域の中でどのように“実装”されうるかを示した好例とも言えるものでした。神奈川県とデジタルガレージは、今回のボランティアを単発のイベントではなく、「参加の証明→参加者同士の対話→次の行動へつなげる」という一連のサイクルを設計。これにより、NFTが“体験の記録”としてだけでなく、“関係性を育む仕組み”として成立することを実証しています。

加えて、大学や民間団体でもNFTの発行が難しい現状において、行政がその“共通フォーマット”を提示することで、多様な団体がこのモデルをベースに展開できる余地を広げました。

「NFTじゃなくてもいい」という指摘に対し、それでも“今あえてNFTである理由”を実証によって浮き彫りにしたこの事例は、今後の行政や地域団体によるWeb3技術の活用において、具体的な足がかりとなるはずです。

今後、「かながわモデル」が全国各地に広がっていくか、引き続き注目していきたいと思います。

WEB3地方創生ねっと編集部

参加者の方の熱量も高く、ディスカッション時間には多くの人が挙手をしている状況でした!

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