日本の自治体として初の実証実験となるWEB3型デジタルスタンプラリー『番ぶらデジタルスタンプラリー3.0 (以下:番ぶら3.0)』を実施した仙台市
前編では、仙台市プロジェクト担当の須藤さんに実証事業のきっかけから、意外な実証データの考察を伺いました!
後編では、実証事業を終えて感じたこと、そして仙台市とWEB3の今後に関して伺います!!
インタビューは2部構成となっていますので、前編も併せてご覧ください。
前編:『前例のない実証事業に取り組む理由とは?仙台市のWEB3型デジタルスタンプラリー「番ぶら3.0」』
番ぶら3.0の取り組みを通して
ーーー(編集部)スタンプラリー参加者は「番ぶら3.0」での取り組みにWEB3技術を活用されていることを認知して利用していたのでしょうか?
今回の「番ぶら3.0」では、WEB3技術が活用されていることを意識して参加されているかについても調査を行いました。アンケート結果では、回答者の約8割が「WEB3が使われていることを理解したうえで参加した」と答えています。従来のイベントとは異なる先端技術を導入している中でも、多くの方に理解・関心を持っていただけたことで、Web3.0を市民に体験してもらう良い機会になったと感じています。
ーーー(編集部)8割という数値は驚きです!
ーーー(編集部)スタンプラリー参加者から取り組みに関する反応で印象的なものはありますか?
アンケート結果から、今回の「番ぶら3.0」に参加された理由として最も多かったのは「お得にポイントがもらえる」という金銭的な動機でしたが、同時に「地域活性化に役立ちたい」や「Web3.0への興味があった」といった社会貢献的な動機も多く見られました。
こうした声から、「番ぶら3.0」は単にスタンプを集めるだけのイベントにとどまらず、地域貢献を意識される方々にも訴求できる回遊促進策となったと感じています。
ーーー(編集部)協力店舗からの反応はいかがでしたでしょうか?
協力店舗からの反応についてもアンケートを実施しましたが、スタンプ獲得に特定の購入条件を設けなかった点については意見が分かれました。約3割の店舗が「このままで良い」と回答した一方で、約6割の店舗からは「購入を条件にした方が良い」との意見がありました。
この背景には、以前のイベントに比べて経済的メリットが少なく感じられたことも影響していると考えられます。
ーーー(編集部)ありがとうございます。
ーーー(編集部)最後に「番ぶら3.0」を実施して感じた気づきなどがあれば教えてください!
「番ぶら3.0」を実施してみて、予想以上に幅広い年齢層の方々に参加いただけた点は大きな発見でした。一方で、期待していた若年層の参加者は少し伸び悩み、ここは今後の課題といえます。
また、予算の制約がある中でトークン枚数が変動する仕組みを導入しましたが、広報手段を工夫しきれなかった点は反省点として残っています。次回に活かせる貴重な経験となりました。
WEB3のメリットは「拡張性の高さ」にある
ーーー(編集部)次に、企画推進時に技術面や連携面でぶつかった課題や困難だった点などを教えてください
「番ぶら3.0」は前例のない取り組みだったため、技術面・連携面でいくつか課題がありました。
技術面では、新しいシステムの導入によりテスト期間が十分に確保できず、いくつか小さな不具合が発生しましたが、大きなトラブルはなく進行できました。
連携面では多くの苦労がありましたが、「仙台市×東北大学スマートフロンティア協議会」の「まちの活性化・回遊分科会ワーキンググループ」メンバーが尽力してくれたおかげで、これらの課題を無事に乗り越えることができました!
ーーー(編集部)特に、商店街の店舗への説明で苦労されたとのことですが、詳細をお聞かせください
商店街の店舗への説明では、各店舗の理解を深めていただくために1店舗毎に個別で説明を行いました。多くの店舗が異なるニーズや関心を持っているため、説明には時間と手間がかかりましたが、「一般社団法人まちくる仙台」が主体となって地域の取り組みとしての意義や、デジタルスタンプラリーの目的を丁寧に伝えていただいたおかげで、協力店舗の方々にも理解を深めていただけました。
ーーー(編集部)ありがとうございます。取り組みを行ったうえで実感したWEB3活用のメリットは何だと思いますか?
今回の取り組みでWEB3技術を活用するメリットとして特に感じたのは、将来的な横展開を見据えた際のセキュリティや拡張性の高さです。
実際のところ、参加者の属性や反応は従来のスタンプラリーと大きく変わらない印象でしたが、WEB3の技術を活用することで、より安全で柔軟な運用が可能になりました。
これにより、今後、地域のさまざまなニーズや他エリアでの展開にも対応しやすくなり、継続的に活用できる基盤が整ったと感じています。
仙台市とWEB3の向き合い方
ーーー(編集部)「番ぶら3.0」の取り組みから仙台市として、今後どのようなWEB3事業を展開していく予定なのでしょうか?
現時点では具体的な展開は未定ですが、「番ぶら3.0」を通じて得られた知見をもとに、今後も国の補助金や支援事業を活用しながら、地域のさらなる活性化を図るWEB3関連の事業に挑戦していきたいと考えています。
特に仙台市は国家戦略特区としての強みもあり、国への規制改革提案が可能です。今回の暗号資産型ステーブルコインの発行に向けた制度整備に限らず、規制改革の提案は引き続き進めていきたいと考えています。
暗号資産型ステーブルコインの発行に向けた制度整備に関しては具体的なステップはありませんが、アイデアがあれば随時国へ相談していきたいと考えています。
ーーー(編集部)仙台市として今後WEB3を活用して実現したいことなどがあれば教えてください
仙台市としては、今後WEB3技術を活用して「関係人口」を増やすプロジェクトを実現したいと考えています。
仙台市は「支店経済都市」として大企業の拠点が多く、転勤者による経済活動が盛んです。
また、東北大学が国際卓越大学認定候補に選ばれたことで、今後さらに留学生や外国人研究者が増えることも予想されています。
こうした背景を生かし、NFTやDAOを活用して地域と国内外の人々をつなぐネットワークを作り、仙台の魅力を発信しながら、新しい経済的なつながりを生み出せるプロジェクトに取り組んでいきたいと考えています。
ーーー(編集部)首相が変わり、政策として地方創生2.0の項目で、NFT、ブロックチェーンを活用した地域活性化が明文化されました。これにより今後さまざまな自治体でWEB3やNFTの活用事例が増えてくることが予想されます。
ーーー(編集部)そのような中で、自治体がWEB3を円滑に導入するためのポイントがあれば教えて下さい
地方創生2.0でNFTやブロックチェーンを活用した地域活性化が政策として明確に掲げられたことは、私たち自治体としても今後の展開に大いに期待しています。
自治体がWEB3やNFTを円滑に導入するためには、WEB3技術に精通し、信頼できるパートナー企業や団体との協力が不可欠です。こうした公民連携により、地域のニーズに合った柔軟な施策やサポート体制が実現できるため、この協力体制を築くことが重要なポイントだと考えています。
ーーー(編集部)最後に仙台市としてPRしたいことなどがありましたらお願いします。
仙台市は国家戦略特区に指定されており、国への規制改革の提案を行いやすい自治体の一つであると自負しています。これまでにも、WEB3規制改革パッケージや「番ぶら3.0」といったWEB3関連の取り組みを実施し、地域活性化の新しいモデルを模索してきました。
今後も、先端技術を通じた地域振興を目指し、事業者の皆さまからのアイデアやご提案を積極的に取り入れたいと考えていますので、ぜひお力添えいただければと思います!
ーーー(編集部)ありがとうございました!引き続きよろしくお願いいたします!