前編では北國銀行が提供しているデジタル通貨サービス「トチポ」「トチカ」「トチツーカ」の特徴、1年間で事業化に成功した事業推進の裏話を伺いました!
後編では珠洲市での「トチポ」活用に至る経緯、これからの地域金融とデジタル通貨の展望について伺います。
インタビューは2部構成となっております。前編の続きになっておりますので、こちらも併せてご覧ください。
前編:『北國銀行が1年でステーブルコインの事業化に成功した理由』
日本一キャッシュレス決済が普及している珠洲で「トチポ」を導入
ーーー(編集部)続いて、珠洲市の地域通貨「トチポ」に関してですが、この「トチポ」の導入を珠洲市で実施した経緯や理由を教えてください!
珠洲市で「トチポ」を導入した背景には、地域のキャッシュレス化への強いニーズがありました。実は、珠洲市は人口あたりのビザタッチ決済の普及率が日本一というデータもあり、現金の代替手段としてデジタル通貨の導入が非常に有益ではないかと考えました。
能登半島の先端に位置する珠洲市はATMや金融機関が遠く、高齢者の割合が多いことから現金の取り扱いが不便で、デジタル決済への移行が必要とされていたと考えられます。また、珠洲市は新しい取り組みに非常に積極的な自治体で、地域経済を活性化させるための革新的なプロジェクトを求めていました。このような背景から、「トチポ」の導入先として最適ではないかと考えました。
特筆すべきは、珠洲市の職員や住民の皆さんの協力的な姿勢です。新しい取り組みに対して非常に前向きで、私たちの提案に迅速に対応していただけました。これにより、「トチポ」の導入がスムーズに進み、地域経済の新たな活性化手段として期待しています。
ーーー(編集部) 珠洲市と北國銀行の風土がにマッチしていると感じました!珠洲市での取り組みが他の自治体にも波及することを期待しています。今後の展開についても教えていただけますか?
デジタル地域通貨は、地域の経済活動を活性化するための強力なツールです。北國銀行は、まず珠洲市での成功をもとに、石川県内外の他の自治体にも広げていく計画です。キャッシュレス化を推進し、地域内でのお金の流れをスムーズにすることで、経済の循環を促進します。この取り組みにより地域の持続可能な発展を支援することを目指しています。
ステーブルコインは「振込」を代替する存在に
ーーー(編集部)WEB3、特にステーブルコインは、今後どのように地域金融に変化をもたらすとお考えでしょうか?
銀行業自体は存続するものの、従来の形態は変わっていくでしょう。主要な機能である預金、為替、融資は続きますが、それらの提供方法が進化すると考えています。特に、ステーブルコインは為替分野に大きな変革をもたらす可能性があり、地域通貨が普及すれば、個人間の送金や決済は従来の振込に取って代わるでしょう。
ステーブルコインが普及すれば、現行の銀行の為替業務は不要になる可能性があります。地域内の決済や送金がすべてステーブルコインで行われるようになると、銀行の役割は大きく変わります。地域通貨は地域経済の活性化と持続可能な発展を支える重要な要素です。今後も、地域通貨やデジタル通貨を活用して、地域経済の成長を促進していきたいと考えています。
ーーー(編集部)2024年に多くの企業がステーブルコインを発行しようとしている中で、他のステーブルコインとどういった差別化をしていくお考えですか?
北國銀行では、ステーブルコインの発行にあたり、銀行ならではのアプローチを採用しております。これは、口座預金に基づいてステーブルコインが発行されるという独自の仕組みです。これにより、利用者の皆様は従来の銀行預金と同様の信頼性と安全性を享受できる点が特徴です
特に銀行業の免許を活かした信頼性の高いサービスを提供しており、地域の事業者や自治体との強固な関係が、サービスの持続性を強力に支えています。この点で他のデジタル通貨との差別化が明確になります。また、地域経済に密着し持続可能な金融インフラを提供することで、金融機関としての優位性をしっかりと確保し、今後も地域社会の発展に寄与していきたいと考えています。
「トチツーカ」をより広範囲に展開する
ーーー(編集部)デジタル通貨を活用した、地域振興のための新しいプロジェクトなどがあれば教えてください!
現在、「小松アリーナプロジェクト」を進めており、スポーツイベントやエンターテインメントを通じて地域に新たな活力をもたらすことを目指しています。このアリーナでは、「トチツーカ」を利用した決済システムの導入を予定しています。これにより、アリーナを訪れる住民や観光客がキャッシュレスで便利に支払いを行えるようになり、地域内での経済活動を一層活性化させたいと考えています。
また、この取り組みを通じて地域経済の活性化を図り、他の自治体にも「トチツーカ」の決済システムを展開することで、地域全体の持続可能な発展を支援していきたいと考えています。
ーーー(編集部)最後に自治体関係者に向けてPRなどがあればお願いします!
北國銀行は、WEB3を活用して地域のデジタル化を共に進めていきたいと考えています。特に、地域通貨やデジタル通貨を導入することで、地域経済を支えるインフラを整備し、地域の発展に貢献したいと思っています。そのため、私たちは自治体や他の金融機関ともオープンに協力していく姿勢です。ぜひ、共に地域の未来を創り上げましょう。
さらに、地域住民や自治体の皆さんと協力して、デジタル技術を活用した地域振興を進めることで、より良い地域づくりを目指したいと考えています。そして、民間企業と自治体が連携することで、地域全体の未来を明るくしていけると信じています。私たちと一緒に、地域の未来を築きましょう!」
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