NFTをきっかけに縄文遺跡のファンへ|縄文遺跡NFTデジタルスタンプラリーが実現するファン作り

2021年7月、ユネスコ世界文化遺産に登録された「北海道・北東北の縄文遺跡群」。
この縄文遺跡とNFTを活用したデジタルスタンプラリーの企画が2023年10月13日〜2024年1月31日の間で開催されています。

今回は、この企画を実施している北海道 環境生活部文化局 文化振興課 縄文世界遺産推進室 主幹の小林弘典さん、専門主任の依田妙恵さん、TOPPAN株式会社 東日本事業本部 北海道事業部 係長の大平牧人さん、営業本部の竹本拓矢さん、こちらの4人に詳しくお話を伺います!

インタビュー回答者
目次

縄文xNFT デジタルスタンプラリーとは

ーーー(編集部)本日はよろしくお願いします!まずは現在開催中の「縄文世界遺産x NFT デジタルスタンプラリー」について教えてください!

北海道庁:依田さん

縄文NFTスタンプラリーは、道央・道南エリアに全7ヶ所ある縄文遺跡群現地に訪れると”訪問記念NFT”を獲得することができるデジタルスタンプラリーです!
QRコードから簡単にNFTを獲得することが出来、獲得したNFTを協賛店舗等でお見せ頂くと、様々な特典を受け取ることも出来ます!
協賛店舗の中には、2名の宿泊が無料になる特典までもあります!

ーーー(編集部)ありがとうございます!楽しく遺跡を回った後には無料で宿泊まで出来てしまうのですね!このデジタルスタンプラリーの企画はどのように生まれたのかについて教えてください!

北海道庁:依田さん

北海道・北東北の縄文遺跡群は、2021年7月にユネスコ世界文化遺産に登録されたのですが、やはり遠いからか中々縄文遺跡に人が来てくれませんでした。
せっかく登録されているので何かやってみたいなと最初は考えていました。

北海道庁:依田さん

北海道では、余市町や芦別市などふるさと納税NFTをやっている自治体があるのですが、すぐに売り切れるといったことでNFTが話題になっていました。
そこでNFTを活用してみたいと思い始めました。

NFTにもNFT以外にもこだわりを

ーーー(編集部)確かに北海道では数多くのNFTを使った事例がありますし、どれも上手くいっている印象があります。今回の企画は北海道庁による公募のプロポーザル案件で、様々な事業者が入札に参加されたと思います。その中でTOPPAN株式会社さんを選ばれたのはどのような点が良かったのでしょうか?

北海道庁:依田さん

私はプロポーザルの審査員ではありませんでしたが、話を聞く限りでは、TOPPANさんはNFTのデザインを複数案を出してきた柔軟性と、周りの企業を巻き込みユーティリティを作ったポイントが評価されたようです。

北海道庁:依田さん

私としても、NFTはそれぞれの縄文遺跡にちなんだものであり、欲しくなるようなデザインである必要性。そしてタップ数が少なく誰もが簡単にNFTを取得できるという利便性。この2点は非常に良いなと感じていました。

ーーー(編集部)さすがTOPPANさんですね…!今依田さんが仰っていたところはやはりTOPPANさんの方でも意識されていたのでしょうか?

TOPPAN:竹本さん

はい!特に地域に根付く企業との連携という点は注力していました。せっかく縄文遺跡群を周遊してもらうのであれば、近隣への周遊斡旋までも実現することを考えておりました。
ANAあきんどさんのお力添えもあり、「この地域が盛り上がるのであれば」ということで多くの店舗・施設から様々な特典を協賛いただけました。

TOPPAN:大平さん

NFTのデザインに関しましては、依田さんが仰っていたように複数案を出しておりました。しっかりと縄文を意識したNFT作品として、集めていて良かったなと思ってもらえればと考えていました。
デザインを考える際には、デザイナーの方々にも出来るだけ実際の土器などの詳細が分かる資料をお渡しすることで、インスピレーションを得てもらい、デザインを作成して頂きました。

編集部:宣伝

NFTのデザインは、実際に現地でNFTを獲得した人しか見ることが出来ないので皆様是非遺跡に訪れてNFTをゲットしてみてください!

NFTがきっかけで縄文遺跡のファンへ

ーーー(編集部)現在企画を開始して約1ヶ月ほど経過しましたが、ここまでの進捗はいかがですか?

北海道庁:依田さん

旅行ピークが終わってしまった時期での企画ですので、正直NFTの取得率が高いか低いかは分かりません。。
ですが、北海道の広さにしては7カ所全ての遺跡を回りNFTを獲得した方がいらっしゃるのでびっくりしています。

北海道庁:依田さん

NFTを獲得することによって、何かがもらえるという強みが周遊を促進できているのかなと感じています。

ーーー(編集部)TOPPANさんはここまでを振り返っていかがですか?

TOPPAN:竹本さん

私たちとしましても、時期によるマイナス影響を予想していましたがそれに反して、多くのNFT取得、そしてアンケートより様々な声をもらうことが出来ており嬉しい限りです。

1月末まで実施し、年代をはじめ様々なデータを取ってから縄文遺跡ファンの活性化状況を分析出来ればと思っています。

TOPPAN:大平さん

実はすでに取得しているデータからでも、NFTを用いたデジタルスタンプラリーがきっかけとなり遺跡に来てくださっている方が結構多いことが分かっています。
「NFT」「遺跡」どっちが目的で来ているのかという議論になるところではありますが、今回の取り組みではこの部分が分かるのもメリットになっています。

北海道庁:依田さん

縄文遺跡の施設の方々もこの企画が始まってから来訪者数の変化を感じているようでして、現場からも反応は良い感じです!

ーーー(編集部)すでにNFTが縄文遺跡のファンづくりに貢献しているようですね!ここまでの成功要因はどのようなところにあると考えていますか?多くの方に知ってもらうために行った施策などありますか?

北海道庁:依田さん

正直なところ全然わからないです、、
今までやってなく、今回から初めて実行したこととしてはチラシを道の駅に置かせてもらったという事です。もしかしたらこの道の駅施策が上手くいっているのかもしれません。

12月からは郵便局にも置かせてもらっています。

TOPPAN:竹本さん

TOPPANとしては広報面においてプレスリリースに力を入れていました。
またWeb広告も打ち、デジタルとアナログそれぞれバランスよく宣伝施策を行なったことが功を奏しているのかと思います。

北海道庁:依田さん

北海道庁のイベントや企画ってあまりメディアに取り上げてもらえないことが多いです。
ですが、今回は新聞など色々なところに取り上げてもらえました。

企画設計時における議論・苦悩・課題

ーーー(編集部)改めて企画設計段階についてお話を伺います。企画を作っていく際にどのような検討・議論がされましたか?

北海道庁:依田さん

今回の企画は1年前2022年の秋頃から練り始めました。
最初の時点ではよく議論する点として2点ありました。
1つ目は、この企画の目的である「遺跡+周辺の街」に来てもらい、そして好きになってもらう事を実現するにはどうしたら良いかという事です。1つの街でNFTを取得して違う街に行ったらNFTが進化するようなことが出来たらなあと考えてはいました。

北海道庁:依田さん

2つ目は、何をNFTにするかという事です。
可愛いキャラのNFTなのか、遺跡ファンに向けて土器とかをNFTにするかなどかなり議論しました。結局は業者の感覚に合わせるのが1番かという結論には至り、その形式で進みました。

ーーー(編集部)企画設計中に感じた課題や難しさは何かありましたか?

北海道庁:依田さん

そもそも北海道庁内にNFTの知識がある人がいませんでした。
ある程度勉強し、内部の中でNFTを活用したいという説明をするときはかなり大変でした。事例を集めてと言われても、そもそも事例がありませんから、、

ーーー(編集部)確かに新しい事をやろうとしているときに”事例”と言われても困りますよね。。TOPPANさんは企画設計中に感じた課題や難しさはありましたか?

TOPPAN:竹本さん

私たちとしては、そもそも北海道庁でNFTの話が出るとは全く思ってもいなく、私たち2人もそこまでNFT・WEB3に対する知識や見解は持ち合わせていませんでした。
NFTを活用することについて少しお話を聞いたときに、東京のWEB3部隊に聞いたところ、しっかりと全社的に取り組むことになりました。

NFT・WEB3に関する知識・認識をよりインプットし、北海道庁の目的を達成するための活用方法を考えていきました。

北海道庁:依田さん

道庁としては、地域における課題は分かってましたが、WEB3に関してはあまり分かっていませんでした。その部分でお力を貰うことが出来ました。

ーーー(編集部)企画を通す上でNFTの説明は避けて通れないと思いますが、どのような説明を行いましたか?

北海道庁:依田さん

NFTそのものの説明を行ったというよりも、手段としてNFTはどういうものか、4つのポイントを抑えて企画説明を行いました。
1:NFTは注目度があるから人は来る
2:NFTに興味を持っている人は遺跡に興味を持っていない人
3:NFTにする事でスタンプラリーに関する情報・データを取得できる
4:NFT取得者と中長期的に関わりを持つことが出来る

ーーー(編集部)NFTが手段としてどうなのかという説明が大切だったんですね。
NFTのデザイン・クリエイティブにもかなりこだわっていたと思いますが、デザイン面での課題や難しさはありましたか?

TOPPAN:大平さん

クリエイティブでは、正直どのデザインを使うかに関してはギリギリまで迷っていました。
最初はキャラクターを活用した方向性はありかなと思っていましたが、それぞれの縄文遺跡にもキャラクターがいるのでバッティングしてしまいそうという、、、
次年度以降に繋げていくためにもどのようなデザインにするのかというのを念頭に考えていました。

ーーー(編集部)企画を実行中の今、設計段階で感じた課題や難しさは変わりましたか?実行し始めてから出てきた課題はありますか?

北海道庁:依田さん

1番はNFTであるからこそ、取得数がリアルに出てくるところが悩ましいですね。正直現時点での取得数が良いのか悪いのか分かりません。

TOPPAN:竹本さん

そうですよね。数字がリアルに出てくる分、心配なところはあります。
ですが、途中で依田さんも仰っていたように、ハイシーズンではなく北海道はかなり広いのにも関わらず、既に全ての遺跡の制覇者が8人もいるのは(*11月10日時点)凄いなと感じています。

ファン層を分厚く、そしてWEB3で相互送客へ

ーーー(編集部)企画説明時に使っていたNFTの利点が逆に不安をもたらすこともあるんですね。今回の企画は2024年の1月末で終わってしまいますが、これ以降で実現したい・やってみたい事はありますか?

TOPPAN:竹本さん

NFTを取得してもらった方々をさらに深掘りしていきたいと考えています。
クローズドでコミュニティを生成し、ファン層をぶ厚くすることが出来ればと思っています。

ーーー(編集部)北海道庁さんとしては、この企画・来年度以降実現したことややってみたい事はありますか?

北海道庁:依田さん

まずは、この企画がきっかけで遺跡に来ている人をより”縄文”に引き込んでいきたいですね。いかに引き込んでいくかを考えています。
そして、NFT取得者自体がNFTを用いて発信をする広報マンになってもらえればと思っています。

北海道庁:依田さん

実は、北海道・北東北には7,000以上の縄文遺跡があります。
洞爺湖町をはじめとしたそれぞれの自治体が縄文遺跡・NFTを活用した取り組みが始まってくれればと思っています。

チーム一同

東北地方などにも縄文遺跡は数多くあります。
取り組みを広げ、そしてWEB3の利点でもある相互運用性を駆使し、遺跡から遺跡への相互送客の実現を考えています。

ーーー(編集部)NFT活用のきっかけとしても仰っていましたが、北海道ではNFT・WEB3技術を活用した事例が数多くあると思います。ここまで通してNFT・WEB3技術に対してどのような期待を抱いていますか?

北海道庁:依田さん

北海道としては、NFTを活用した初めての事業です。
今まで縄文遺跡に興味を持ってもらっていなかった人たちにNFTをきっかけで知ってもらい来ていただくことが出来ればと思っています。

北海道庁:依田さん

NFT・WEB3は色々な人に知ってもらえますが、あくまで縄文遺跡を知ってもらうためのツールだと考えています。
新しい人たちを取り込むためにメタバースの活用も検討しています。イベント・展示のために物理的にやる事はなくエコな一面もあると思っているからです。
様々なツールを活用して縄文遺跡を知ってもらえればと思っています!

ーーー(編集部)最後に宣伝したいことがありましたらどうぞ!

チーム一同

宿泊が無料など、縄文遺跡の制覇NFT特典はすごい豪華なので是非北海道にきてデジタルスタンプラリーにご参加ください!

ーーー(編集部)本日はありがとうございました!皆様是非ご参加ください!!

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