JPYC岡部さんが考える「WEB3 x 地方創生」の相性・弱点とは

日本円のステーブルコイン「JPYC」の株式会社代表取締役を始めとし、ブロックチェーン普及推進部会の部会長やweb3PTにも参加している岡部さん。WEB3の考えやブロックチェーンのメリットを自民党の方や多くの業界関係者に伝えています。

そんな岡部さんは、2022年に青ヶ島に移住をし、青ヶ島の住民の方々と共にDAOヶ島というプロジェクトを展開しています。

今回はそんなJPYC株式会社代表取締役の岡部典孝さんに、今後のWEB3 x 地方創生についてお話を伺いました!

インタビューは2部構成となっていますので、こちらも併せてご覧ください。
「JPYCを使ってDAOヶ島を成功させ、自分たちが世界的なDAOの基準になる」

目次

JPYC岡部さんが思うWEB3 x 地方創生

ーーー(編集部)本日はよろしくお願いいたします!まず、WEB3 x 地方創生領域について全体的なお話をさせてください。WEB3と地方創生の相性についてどう考えられていますか?

岡部さん

関係人口という言葉はかなり前からあるんですが、その関係人口が何人いて、どんな人で、どのくらいその地域に活動しているのかっていうのを調べる(可視化する)のに従来ではかなりコストがかかっていました。

岡部さん

NFTを配布するであるとか、WEB3的な活動をすることによって、ブロックチェーン上で誰でも見ることができるので、可視化に対するコストが非常に低くなる。また、可視化することで非常に人を巻き込みやすくなるという点は、国や自治体にとってありがたいことなのではないか考えています。
純粋に決済コストを抑えることも、相性の良いところだと思います!

ーーー(編集部)ありがとうございます!2年前に地方創生推進事務局で講演されたと思うのですが、その時の内容を教えてください!

岡部さん

その時に呼ばれたのが、DAOヶ島と山古志村のプロジェクトでした。官僚の方々や、地方創生の大方針を考えていらっしゃる方にDAOとは何か、地方創生とどう関係あるのかという話をしました。地方創生と相性が良いとかなり反響があり、DAOが骨太の方針に入るきっかけにもなったと思います。

ーーー(編集部)WEB3 x 地方創生領域において、岡部さんが考えているJPYCを活用した地方創生はどんなものをイメージしていますか?

岡部さん

現状、WEB3 x 地方創生の事例でステーブルコインが使われていないのは、単純な話USDCのようにいつでも法定通貨に戻せるステーブルコインが日本にないからでしょう。
今年は電子決済手段と言われる、法定通貨にいつでも戻せるステーブルコインが出てくると思いますので、だんだんステーブルコインを使った事例も出てくるようになると思います!

岡部さん

WEB3 x 地方創生でステーブルコインを使う主な事例としては、ふるさと納税と絡めて返礼品の売買を行うことがイメージしやすいかなと。なので、この先の地方創生事例にステーブルコインが絡む可能性は高いなと思います!

ーーー(編集部)例えばの話、パルコやカゴメなどがやっている社債型の商品券みたいに、地方債としてJPYC自体を返礼品にするというのは考えていますか?

岡部さん

残念ながら、現状総務省から見たJPYCはAmazonギフト券のように流動性の高いものと認識されているので、JPYCのみというのは返礼品としては馴染まないと思っています。
一方で、JPYCの技術を使用した地域通貨的なステーブルコインが出てくることは考えられますので、それなら問題ないかなと思います。

岡部さんの考えるWEB3 x 地方創生の弱点

ーーー(編集部)現状のWEB3 x 地方創生における良い点と悪い点を、1つずつ教えて欲しいです!

岡部さん

良い点は、自民党のweb3PTでも地方創生DAOについて前向きな話がされていましたが、国や自治体が応援してくれていることだと思います!
日本の考えている地方創生DAOと世界的なDAOに乖離はありますが、日本独自のDAOができそうで、機運が高まっているのは間違いないです。

岡部さん

悪い点は、「暗号資産」という言葉が絡んでくると、悪いイメージが焼き付いてしまっていて、拒否反応を起こす方がいることですね。自治体の中に何人か賛成派の方がいても、プロジェクトが途中で止まってしまうという話は聞いたことがあります。

一方で日本の法律(改正資金決済法)で定義されたステーブルコインは暗号資産ではなく電子決済手段となるので、「ステーブルコイン」は「暗号資産」とは異なります。そのため、ステーブルコインを始め業界各社が努力することによって業界全体の怪しいイメージを払拭していくことが大事だと思います。

ーーー(編集部)私もNFTとは…という説明をするのを大変に感じているのですが、岡部さんなりの説明の仕方はありますか?

岡部さん

私が説明する時はただの紙ですと言っています。その紙の上に何が書かれるかで役割が変わってくるものだと。

アートが書かれたら絵画みたいになるし、株式の情報が書き込まれたら有価証券になるし決済手段の説明が書き込まれたらプリペイドになるかもしれないし、様々な性質を書き込めるのでNFTが何かというよりそのNFTが何を表しているかを理解するのが大事だと説明しています!

ふるさと納税記念SBTを配布した背景【徳島県】

ーーー(編集部)徳島県海陽町のふるさと納税記念SBTとJPYC商品券の取り組みを行ったきっかけを教えて欲しいです!どのような繋がりで海陽町でやることになったのですか?

岡部さん

JPYCの初期投資家さんである、海陽町出身の村口和考さんという方に繋いでいただきました。かなり伝説的な投資家さんで、ふるさと納税の提唱者でもあるんです。

初めは3年前くらいの話ですが、海陽町でふるさと納税をJPYCでできるようにしよう、という方向になったので発表したところ、財務局から第三者型前払式のライセンスが必要ではないかと止められてしまいまして…
結局延期となったのですが、昨年の3月にライセンスが取れましたので、再始動したという経緯です。

ーーー(編集部)3年前となるとまだWEB3の評判は良くない、むしろ悪いと思うんですが海陽町さんの方ではどんな方が一緒に進めようとしてくれたのですか?

岡部さん

ふるさと納税の企画をしている人をはじめ、課長さんやいろんな人を巻き込んで行うことができました。最終的に議会や町長にも説明した上でOKとなっていますので、ふるさと納税として新しいことをやりたいというところで良い企画ができたのではと思います。
海陽町としては、国側がOKなのであればやりたいということでした!

今回の記事はここまでです!

現状のWEB3・地方創生の弱点や相性についてかなり深く語っていただきました!
やはり実際に青ヶ島に移住している方が言うと説得力が違います。次の記事は、そんな青ヶ島/DAOヶ島について深掘りしているのでぜひそちらもご覧ください!

「JPYCを使ってDAOヶ島を成功させ、自分たちが世界的なDAOの基準になる」

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