JPYCを使ってDAOヶ島を成功させ、自分たちが世界的なDAOの基準になる

前回はWEB3と地方創生の弱点や今後の展開、相性について岡部さんの考えを語っていただきました。本記事では、実際に岡部さんが移住した青ヶ島で行われているプロジェクト「DAOヶ島」についてたくさん語っていただきました!

インタビューは2部構成となっております。前回の続きになっておりますので、こちらも併せてご覧ください。
「JPYC岡部さんが考える「WEB3 x 地方創生」の相性・弱点とは」

目次

DAOヶ島ができた背景

ーーー(編集部)ここからはDAOヶ島の話をお聞きしたいです!そもそも青ヶ島自体をどうやって知ったんですか?

岡部さん

元々青ヶ島という存在自体は知っていました、八丈島までは行っていたので、なかなか行けない島があるというのを聞いて、青ヶ島は知っていたんです。
3年くらい前、DAOが話題になり始める前くらいにDAOの島、DAOヶ島があったらいいよねという話を仲間内でしていました。

実はDAOヶ島という言葉の方が最初に誕生していまして、そこを起点に青ヶ島のことを思い出し、調べたらDAOにぴったりの島だったというわけです。

岡部さん

日本で一番人口の少ない自治体ということで、もしかしたら既にDAO的に運営されているのではないかと思い、実際に行ってみたら本当にDAO的に運営されていました。

ここは本当にDAOの聖地だと思い、移住したいなという気持ちが芽生えてきて、1年半くらい前から無事に青ヶ島の住民になることができました!

ーーー(編集部)すぐに青ヶ島に移住したいと思った理由はなんですか?

岡部さん

ネット環境も整っているし、星空もすごい綺麗だし、海もあるし山もある。ここは天国かと思いましてすぐに移住を決めました!あとはサウナがあったところです。人口150人ほどなのに施設も充実しているし、生きていく上で良い環境が揃っていたので、すぐに住みたいと思いましたね。

ーーー(編集部)なるほど、生活するために必要なものがほぼ全て揃ってますね!では改めて、DAOヶ島プロジェクトについて教えてください!

岡部さん

DAOヶ島は、おそらく日本で一番早く始まったDAOプロジェクトの一つだと思います。青ヶ島は人口150人ほどしかおらず、このまま減っていくと無人島になる可能性があるということで、関係人口や移住者をもっと増やしていこうという狙いがあります。実際に私自身も移住していますし、仲間内でも何人か移住しています。

ただ移住者を増やすとなると、もっとたくさんの方に興味を持っていただく必要があり、産業も起こす必要があり、場合によってはお金を集める必要もあります。それをどうやって実現するのか?というのを話し合い、出た結論が村全体をDAOにする事でした。

岡部さん

今考えていることとしては、ふるさと納税の返礼品の仕組みが決まっていないないので、ふるさと納税をJPYCですると特産品と交換できるNFTを返礼品にすることも可能です。そのNFTにガバナンストークンとしてプロジェクトの意思決定に関わる投票ができれば、現行法の範囲内でDAOとしての運営もできるのではないかと考えています。

ーーー(編集部)確かに、たとえふるさと納税をしてもその地域のその場所に使われるかはまた別の話ですし、それが実現できれば本来のふるさと納税の目的も達成できそうですね!

岡部さん

今ふるさと納税をしようとすると、返礼品競争のようになってしまい還元率の良い自治体に寄付をすることになります。ただ、それは関係人口の創出とは全く関係のない取り組みになってしまっているんですよね。
これがもし、ガバナンストークンをもらえる設計にして村や自治体に寄付をした人の意見が届けられるようになれば、本来のふるさと納税のあるべき姿に近づくんじゃないかなと思っています。

岡部さん

自治体が予算案を審議するときは、議会の方達が検討をするわけですが、この議論では住んでいる人のために何をするべきかが重要になってきています。

一方でふるさと納税をする人にとっては、村やその場所が発展してくれることに越したことはありませんが、もっと言うとおいしい特産品を作って欲しいだとか、もっといろんな返礼品が欲しいという要望もあるはずです。
この要望は届けられるべきだと思っています。むしろこのやりとりこそ経済が大きくなるような循環が作れるのではないでしょうか。

DAOヶ島で実現したい未来

ーーー(編集部)DAOヶ島で実現したい未来としてどんなものを描いていますか?

岡部さん

最近の日本は、経済縮小や人口減少など暗いニュースが多いと思います。私がDAOヶ島にしようと思った理由の一つでもあるのですが、日本が再び復活するには「海」が鍵だと考えています。

青ヶ島は海でイノベーションを起こす際にとてもいい位置にあるなと思っていて、南に数百キロ誰も住んでいないのでそこを活用して色々な実験ができるんです。さらに青ヶ島の近海では、試算によると100兆円ほどの金が眠っている1そうでかなり面白い要素がたくさんあります。

岡部さん

また近くに豊富な漁場もあるのですが、輸送の関係で未利用魚になってしまうことも多いのです。これらの海洋資源を利用して、みんなで様々なイノベーションを起こすための研究や実験のできる場所を作れたらいいなと考えています!

海に合同会社型のDAOを作って漁業権を取りに行き、実証実験ができるスペースを作ってみんなで内容を決めていくことができれば良いですね。
こんな空間が日本に一つでもできて、そこに実際に人が住むようになれば新たな地方創生の形になると私は考えています。

漁師兼青ヶ島村会議員の佐々木祐治さんと港を視察

ーーー(編集部)それらの活動をやる際に、切っても切り離せないのが既に住んでいる人との関係性だと思います。DAOヶ島を始めるときに島民の方にどのような説明をされたのですか?

岡部さん

最初に訪れた時に「もうここに移住したい!」と思ったんですが、それを島民の方に伝えたら「本当に移住するのか?」「住民票をここに移したら本物だ!」のようなニュアンスの返答をいただきました。

そこから実際に居住する家の関係等もあり10ヶ月ほど間が空いたのですが、そんな時に登録者が15万人とかなりネット上での認知度の高い青ヶ島在住のYouTuber『青ヶ島ちゃんねる』さんが「デジタル青ヶ島をやりましょう」と言っていたんです。
「青ヶ島の人口が減少している中、ちょうどコロナでリモートワークが増えているし、朝に漁とか農作業やって昼からオンラインで働く、こんな働き方のできる青ヶ島はとても魅力ありますよ!」と。そうこうしているうちにシェアハウスの空きが見つかったこともあり移住も決まり、段々DAOの取り組みも始めていきました!

岡部さん

私以外にもDAOのメンバーが移住してくれたし、大学を休学して移住してくれた人もいたくらいです。そのおかげもあって、リモートワークをする人たちが集まってきたという印象があったのかなと思います。人口150人ほどなので、良くも悪くも噂が広がりやすく、すぐに理解してくれたのだと思います!

ーーー(編集部)すぐに青ヶ島に移住したいと思った理由を教えてください。

岡部さん

ネット環境も整っているし、星空もすごい綺麗だし、海もあるし山もある。ここは天国かと思いましてすぐに移住を決めました!あとはサウナがあったところです。人口150人ほどなのに施設も充実しているし、生きていく上で良い環境が揃っていたので、すぐに住みたいと思いましたね。

実際に青ヶ島に移住することの大切さ

ーーー(編集部)DAOヶ島の未来を実現する上で現状の課題になっている部分を教えてください!

岡部さん

制度とそれに関わる資金調達の部分ですね。
実は現状DAOヶ島は任意団体でやっているので、お金を集めて何か新しい取り組みをするというのはあまりやってきていませんでした。他のDAOをやっている方達は一般社団法人を建てたりしていますが、私たちは任意団体としてやっているだけなので資金調達の問題はとても大きいと思います。

岡部さん

ただ、今年の4月22日から合同会社型のDAOを設立できるようになったので、それを活用すれば資金調達の部分は解決されるかなと考えています。JPYCもその提言に参加していましたが、実際に青ヶ島に足を運んで移住したり、村の方々と動いている実績があるのが大きかったです。
今までは本当に準備中だったのですが、最近になってようやく制度が整いつつあるので、これから執行役員などを決めて本格的にDAOとして動いていければなと考えています。

ーーー(編集部)実際に足を運んで、地元の方々と連携するの大事さというのが改めてわかりますね…!

岡部さん

そうですね、自民党の方々が興味を持ってくれたのはそこが大きかったのではないかと思います。ただ単に学者がロジックだけで話をしようとしてるわけではなく、実際に足を運んで、移住者も増えて、村の人々と解決したいことを話し合った上で自民党web3PTの方にお話をしているので説得力があったのは間違いないと思います。

岡部さん

それに青ヶ島の良いところは、ちゃんとした自治体だというところにもあると思います。
例えば、議会と村長さんが許可を出せば特区申請を出せるんですね。実際に青酎という焼酎に特区が通ったという事例もありますので、この先何かしらの障害があった時にまず青ヶ島で特区申請して、その後に法改正をして全国でできるようにするという流れができます。
人口150人ですので、いい意味で人と人との距離感が近いからこそできることですね!

地方拠点を活用して学生と地方を繋げる「B Lab」

ーーー(編集部)B Labについて教えてください。実際にどんな活動をしていますか?

岡部さん

B Labは「中村 伊知哉」さんが学長をしているiU(情報経営イノベーション専門職大学)のラボで、いろいろな地方自治体にラボを設置し、学生と地元の人たちを繋ぐ活動をしております。
また、教授たちと地元の人が共同研究をできるような拠点を作るといった活動もしています。

岡部さん

B Lab青ヶ島については、中村学長とYouTubeで対談をした時に青ヶ島でもやろうという話になり、数ヶ月後に実現しました。たまたま、青ヶ島ちゃんねるさんがシェアオフィスを開いた時期でしたので、現在はそこを拠点に活動しています。
今は青ヶ島でDAOも含めて新しいことをやる際の拠点として、そして学生の方が時々青ヶ島にいらっしゃる際にも活用してもらっています。

ーーー(編集部)青ヶ島ならではのB Labを設置するメリットはありますか?

岡部さん

海洋実験をする場所としてとても良い位置にあると思います!
太平洋の真ん中あたりに位置しているので、良くも悪くも波が荒く、強い風も吹くのですが、逆にそこで大丈夫な作りにしておけば信頼できる場所になるのかなと考えています。
そういった実証実験をしたい方にとても向いている場所ですね。

ーーー(編集部)また少し幅広い質問になるのですが、今後のWEB3・NFT・DAOに期待する部分や市場の展開について教えてください。

岡部さん

基本的にWEB3やDAOには今の資本主義における歪みのようなものを是正する働きがあると思っています。イノベーションを起こすのであれば、大企業やスタートアップが独立してそれぞれ動くのではなくて、2つを融合するような場所が必要です。
そういった意味では、地方創生のDAOは良い実証実験の場所になると確信しています。イノベーションを起こし続けない限りは日本の経済は右肩下がりになっていくと思いますが、DAOをはじめとした新しい資本主義の形が日本の成長戦略に組み込まれているので、いち早く成功例を作るべきだと考えています!

岡部さん

また、DAOの成功例を作った時に、それを支えているのがステーブルコインだと私は考えています。やはり今年のステーブルコインがちゃんと電子決済手段として出せるようになるということと、合同会社型DAOの資金調達が規制緩和されたことは世界的に見てもかなり先進的だと思っています。

これを使った成功例を全国に、または世界に広げている可能性があると思っていますので、非常に期待しています!

ーーー(編集部)ありがとうございます!最後に宣伝したいことなどはありますか?

岡部さん

JPYCでは現在、資金移動業や電子決済手段等取引業の登録がかなり近いところまで来ています。それを踏まえて、優秀な人材を常に募集しています

DAOヶ島では法人化の話が出ているので、業務執行社員になっていただける方あるいは業務執行社員じゃなくても関与していただける方はお気軽にお声がけください!移住者の相談も随時受付中です!

岡部さん

あとは「ステーブルコインの税務」という本を発売しておりますので、ぜひ読んでみてください!

「JPYC岡部さんが考える「WEB3 x 地方創生」の相性・弱点とは」

  1. 参照記事:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240229/k10014374841000.html
    「青ヶ島沖の深海から高濃度の「金」回収成功 銀も吸着 今後は?」 ↩︎
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