NFTの購入が渋谷の落書きを綺麗に|官民連携の「428NFT」プロジェクトが行うアートを消すアートとは

NFTの販売収益が街を綺麗にする取り組みに使われる「428NFT」プロジェクト。
渋谷区と連携したこの官民連携プロジェクトについて、一般社団法人CLEAN&ARTの代表理事を務める傍嶋賢さんに、どのような想いでこのプロジェクトを進めているのか詳しくお聞きします!

目次

NFTの購入が渋谷の街を綺麗に「428NFT」プロジェクト

ーーー(編集部)本日はよろしくお願いします!まずはNFTアートの販売収益を街を綺麗にする「428NFT」プロジェクトについて改めて教えてください!

傍嶋さん

「428NFT」プロジェクトは、428種類のNFTアートを販売し、その販売収益を使って渋谷区恵比寿の落書き消去を実施するという取り組みです。
私が代表理事を務める一般社団法人CLEAN&ARTと株式会社奇兵隊、渋谷区官民連携オープンイノベーション「Innovation for New Normal from Shibuya」の一環でのプロジェクトです。

ーーー(編集部)これまでにない官民連携プロジェクトだと思いますが、どのようにこのプロジェクトは生まれたのでしょうか?

傍嶋さん

元々私たちCLEAN&ARTでは、渋谷区から受注して街の落書き消去の取り組みを行なっていました。その中で、渋谷区官民連携イノベーションの方からお声がけしていただいたことがきっかけです。
その中に奇兵隊さんがいらして、奇兵隊さんがやられているプロジェクト自体が凄く素敵だなと思い、このようなところと仕事が出来たらと思い動いていきました。

ーーー(編集部)確かに奇兵隊さんはOpenTownの取り組みなど素敵ですよね!今回NFTの販売収益で行う落書き消去の場所はどのように選ばれたんでしょうか?

傍嶋さん

今回の販売収益で落書きを消す恵比寿の高架下の駐車場ですが、実は3年ほど前に取り組もうと思ったのですが、駐車場の営業保証など様々な事情で無くなってしまいました。
今回NFTを使ってという機会があり、元々関わっていたところに取り組み、また駐車場の落書きに関しては様々な課題がありますが、これが解決に繋がる1つのきっかけになればと思っています。

ーーー(編集部)駐車場って確かに落書きが多いイメージがあるのですが、どのような課題があるのでしょうか?

傍嶋さん

世の中の色々な駐車場に落書きは結構残っています。
駐車場の落書きを消すには、清掃の間営業を止める必要があるのですが、中には営業を止めたくない、綺麗になるなら止めてもいい、と様々です。
営業問題を解決しなければならないので、駐車場の落書き問題は少し複雑です。

マイナスをゼロにするアート

ーーー(編集部)そういう事情があったんですね。
傍島さんらCLEAN&ARTさんが渋谷区での落書き消去活動だと思うのですが、渋谷という街にこだわる想いがありましたら教えてください!

傍嶋さん

私自身、東京藝大大学院の壁画科出身で、荒川区の方で落書き対策や環境美化の一環で壁画を行なっていました。「荒川区 壁画」で是非検索してもらえると私の作品がかなり見れると思います。
そういった活動をしている中、2017年に東京で落書きはどこが多いのかを調べていたら渋谷区に落書きが圧倒的に多くありました。

スクロールできます
傍嶋さん

そこで代官山のゴミ拾いボランティアNPOに参加し、ゴミ拾いをしながら様々な人の声を聞いていました。
月に2回あるタウンミーティングの中で、落書きに対して解決策を作ろうという動きになり、団体を立ち上げました。
活動を続けているうちに、2019年から一般社団法人化し、渋谷区からの受注や企業とのコラボレーションをするような運びとなりました。

傍嶋さん

この”落書きを消す”という活動は他に同業他社がいたら長くはやらないかなと思っていましたが、実は渋谷でアートをやりたいという人は多いですが、マイナスをゼロにするという人はいない状況でした。そして落書きも多い状況でした。まずは落書きで困っている人を助けて、マイナスをゼロにすることから始めました。

ーーー(編集部)アートを消すアートというような文脈なんですね。

傍嶋さん

前述しましたが、荒川区で壁画をやっていて、必ずしもみんなが絵を欲しい訳ではありません。
落書きを消す、絵描きが壁を白く塗っていき、何も無くなった壁を地域住民の方々と眺めて嬉しくなったという経験もあります。

傍嶋さん

ストリートアートという文脈の中では、バンクシーを超えることは難しいと思います。そこで正規な手続きを経て、アートを無くすという全く真逆のポジションを取っています。このアートを消すという取り組みは世界的にも珍しくイギリスの雑誌でも取り扱っていただきました。

NFTは世界中から支援が貰えるツール

ーーー(編集部)このような中で傍嶋さんにとってNFTはどのような位置づけですか?

傍嶋さん

NFTは世界中から支援が貰えるツールだと認識しています。今回の落書きを消去するという以外の面でも社会的課題解決に繋がらせることが出来るツールだと考えています。

ーーー(編集部)10月21日〜23日で実際に販売収益から落書きの消去を実施される予定だと思いますが、ここまで「428NFT」プロジェクトを実施してきて、感じた課題はありますか?

傍嶋さん

やはり一般の方とNFTを知っている方の乖離があるという事ですね。
だからこそ今回の428NFT自体は、面倒な手順が必要ないようクレジットカードでのNFT購入及び奇兵隊さんのサイトで完結するような形にしています。

ーーー(編集部)傍嶋さん自身はこれまでNFTを触っていたりご経験はありますか?

傍嶋さん

実は仮想通貨の方から入っており、ビットコインがまだ10万円くらいの時にずっと買おうか迷っていました。2018年のバブルの際にちょうど頂点でビットコイン を買ってしまっていて、それ以来は手放さず持っています。
NFT自体は今回作るのは初めてですが、色々買ったりと一定程度の経験があります。

傍嶋さん

今回の取り組みは初めてということもあり、正直いきなり大きな成功を収めるとは思っていません。
今回を機会に、行政やNFTを使った企業や団体が連携するというのは非常に大事だと思います。こうした社会課題の1つにこのような形で取り組めるというのは非常に面白いとも思います。

ーーー(編集部)確かにNFTというものが1つの社会課題解決のきっかけになればいいなと私も思っています。このプロジェクトを通じた改めて達成したい事について教えてください。

傍嶋さん

私自身ここ最近で3カ国のアートフェスに行き、その中で落書きを消したり、アートを描いたりしてきました。国によって様々な考え方がある中で、「クリーンにする」という日本人特有のアイデンティティというものと海外のグラフィティという文化は掛け合わせながら輸出できるのではと思っています。
NFTという世界中から支援してもらえるツールを用いながら、世界中でもこの活動ができればと思っています。

傍嶋さん

また社会が変わり続ける中で、その潮流に合わせた動きを取り続けていきたいです。カルチャーの見方・考え方も日々変化している中で、自分達が出来ることを見定めていきます。絵を描く事だけが全てではありません。
東京都渋谷区の都営バス渋谷自動車営業所の100mの外壁に様々な方々と共にインクルーシブアートを描いたことがあります。
自分達だけが描くのではなく、街の様々な人に参加してもらって共にパブリックな景観を作っていきたいです。

ーーー(編集部)ありがとうございます!微力ながら支援させていただきます!

傍嶋さん

ありがとうございます!
「428NFT」も絶賛販売中ですのでよろしくお願いいたします!離れたところからでも支援することが出来ますので共に街の景観づくりが出来ればと思っています!

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